2015年の春にApple社がApple Watchを発売開始したことを機に、「テクノロジーを身につける」というカルチャーが世の中に徐々に浸透し始めてきました。まさに身につけるテクノロジーのことを、「Wearable(ウェアラブル)」と言います。

ウェアラブルはApple Watchをはじめ、2012年に登場し話題を集めたGoogle Glass(グーグルグラス)や、心拍数や1日の消費カロリーを出してくれるNIKEのFuelBandといったものまで幅広く展開されています。
テクノロジーの力を駆使し、私たちの生活を豊かにしてくれるウェアラブルは、マーケティングにおける恩恵も大きいもの。人々の生活に密着するユーザーのデータを数多く取得することができるのです。
今回はユーザーのライフスタイルの変化とマーケティング効果のふたつのポイントに注目しながら、最新ウェアラブルのトレンドをご紹介します。
【ルイ・ヴィトン】高級時計がテクノロジーに変身
フランスの有名ファッションブランドのルイ・ヴィトン。日本でもバッグやお財布で若い女性を中心に人気のルイ・ヴィトンが、Android Wearとタッグを組みTambour Horizonというウェアラブル時計の販売を開始しました。広告にはミランダ・カーや市川海老蔵といった世界的に有名な12人の女優、俳優、モデルを起用したことで話題になりましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=4AjdAObqC74
【ユーザーができること】
Apple WatchとAndroid Wearの大きな違いは、時計のディスプレイがブランドのデザインにカスタマイズされていること。そのためTambour Horizonにはルイ・ヴィトンの伝統的なデザインに加え、最先端のイマドキ感溢れるディスプレイと数種類のデザインが搭載されています。
機能面では、時間を確認できる他にメールの通知を受けることができます。たとえば飛行機に乗る際には、フライトの数日前から「◯日後には△△行きのフライトがあります」とリマインドしてくれるなど、フライト時間やフライト案内をしてくれる機能も。フライト当日の搭乗前にはターミナル・ゲートや便名、QRコードの表示もされ、QRコードをゲートでかざせば搭乗できます。これで搭乗前にチケットを出すこともなくなりますね。
【マーケッターができること】
ウェアラブル時計の台頭により、ファッション業界のマーケティング戦略も大きく変わることが予想されます。今回はフライト情報の取得に関する視点からマーケティングの未来について考えてみましょう。
フライトの情報を獲得することにより、Tambour Horizonの購入者がどの航空会社で、いつどこへ旅行・出張に行ったかなどの情報が取得でき、整理されます。また座席番号も表示されるため、座席のクラスもわかります。クラスがわかることで、おおよその年収もデータから予測できるようになります。
こういったデータが獲得できることでルイ・ヴィトンの顧客層の行動がより具体的にわかるようになり、今後の新商品開発やターゲットの選定、プロモーションを考える有益な情報として生かすことができます。その結果、より精度の高いマーケティングの施策が展開できるようになるのです。
【Levi’s】テクノロジーを駆使するジーンズジャケット
ジーンズメーカーのLevi’sは、Google社が先導するProject Jacquardと連携し、ウェアラブルジャケットの販売をアメリカで2017年の3月に開始しました。Project Jacquardとは、布とテクノロジーをつなげるもの。一見すると普通のジーンズジャケットですが、画期的なテクノロジーが内部に搭載されています。
https://www.youtube.com/watch?v=yJ-lcdMfziw
【ユーザーができること】
イヤホンとウェアラブル、スマートフォンの3つを同時に連携させることで、電話の応対、地図のナビ、音楽を聞けることがウェアラブルジャケットの主な機能です。
操作の仕方は簡単。専用のデバイスをジャケットの袖口に差し込み、デバイスを軽く触るだけ。たとえば、自転車に乗っている際に、違う音楽を聞きたくなったときは、そのまま袖口をタッチするだけで簡単に曲の変更ができます。
【マーケッターができること】
こちらのLevi’sのウェアラブルジャケットは、ユーザーが「どんなシーンで端末を使うのか」が地図のナビゲーション機能やGPS機能から推測できるようになります。
これまで商品開発やマーケティング施策を考えるときは、どんなシーンで着る服なのかを予測したり、ユーザーへの聞き込み調査などアナログ的なリサーチ方法で情報を集めるのが一般的でしたが、ウェアラブルはリアルタイムでユーザーのこれから向かう先をデータ化してくれます。このデータを集積し、分析することで「どこへ行くときにそのジャケットを着るのか」あるいは「どんなときにこのジャケットを着るのか」などの傾向が明確になるわけです。
【Under Armour】「靴の替え時」もウェアラブルが教えてくれる
スポーツアパレルメーカーのUnder Armourは、ウェアラブルランニングシューズを販売しています。スマホに専用アプリをダウンロードし、シューズに内蔵されたチップと連携させて自分のランニングデータを知ることができるようになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=acaXHRw8zXY
【ユーザーができるようになること】
ランニングシューズに内蔵されたチップは、ランニング時間・歩調・持続時間・走った距離・スプリットなどを自動的に計測。計測されたデータはスマホのアプリに送られ、いつでもどこでも自分のランニングデータを見ることができます。
また地図機能も充実しているのが、Under ArmourのSpeedFormです。GPS機能がチップに搭載されているので、走った場所がランニングコースとしてアプリ上の地図に反映される仕組みになっています。
また400マイル(643km)を走行すると、スマホから通知がきます。これは「靴の替えどき」というメッセージ。常にいいコンディションで使いたい人にとっては嬉しい機能ですね。
【マーケッターができるようになること】
ユーザーのランニングをするときの時間や距離、走る場所といったデータを取得できることは、マーケッターにとってユーザーの傾向をつかむ最適なツールと言えるでしょう。
たとえば、都内の有名なランニングコースごとに、ランナーの年齢と性別を集計します。このデータを集計することで、20代の女性が多いのか、年配の男性が多いのかなどの詳細なデータが把握できるようになります。
ロッカーやシャワーの利用ができるランニングステーションを新しく作るとなったときに、女性が多いエリアだと、女性に向けたお得なサービスを考えることにつながります。たとえば、メイク直しのためのコスメやヘアアイロンの貸し出しといったことです。このような施策を考えることで、多くのランナーの集客につながることが予想されます。
靴だけではなく、ランナーが快適に走れるようにする環境を作るためには、シューズから取得できるデータはおおいに役に立つでしょう。
このようにシューズから検出されたデータは、シューズだけではなくランニングの関連商品を開発する際のデータとしても役に立つでしょう。
キーワードは「リアルタイム」。ウェアラブルはマーケティングの可能性を広げる

世界4大会計事務所のひとつである、PwC社が発表したレポートによると、”Wearables can improve efficiency, productivity, service and engagement across industries.”(訳:ウェアラブルは業界をまたいで、効率性・生産性・サービスの質・エンゲージメントを向上することができる)という記述があります。
https://www.pwc.com/us/en/technology/publications/assets/pwc-wearable-tech-design-oct-8th.pdf
出典:The Wearable Future
「業界をまたいで」とある通り、テクノロジーやファッション業界に留まらず、ウェアラブルは多くのジャンルに役立つデータをリアルタイムで習得することができます。ユーザーがいつどんなときにそのウェアラブルを使うのか。よりユーザーの生活に密接したリアルなデータこそ、マーケティング施策にも反映させやすくなるはずです。
(PR)フィジタルをマーケティングに活用したい方におすすめのソリューション
drop: Phygital Marketing Lab
デジタルによるビッグデータの取得・活用と、リアルでのブランド体験の提供を両立
・フィジタルを通じたユーザー行動をデータ化し、マーケティングに活用
・リアルビジネスにフィジタルを融合することで、デジタル活用の機会が広がる
・感情をデータ化し、よりユーザー意向に合わせたデータマーケティングを実現
フィジタルマーケティングプラットフォーム
・データベースマーケティングの仕組みをVR/ARといった体験型コンテンツに融合
・コンテンツ価値を単なる「体験」から「継続的なコミュニケーション」を創出できる「起点」にする。
・未来技術と外部コミュニケーションをつなぐハブとなるプラットフォーム
dropのサービス
・フィジタルコンテンツ製品/サービスの企画・開発・運用
・フィジタルなイベント/製品などの告知・販促
・個々のフィジタル製品のネットワーク化
・フィジタルを通じて得たユーザーデータの分析
・フィジタルを活用したコミュニケーション設計、施策の企画・運用
・PDCAを通じて得た知見の反映・コンテンツアップデート
・その他、フィジタル領域に関する課題解決のご支援