2000年代に入り、インターネットが急速に普及すると、紙の新聞を読んだり、テレビを見る人が激減。新聞やテレビは“オールドメディア”と呼ばれ、収入源である広告収入も大きく減少する“メディア不況”が起こりました。

画像: 【VR × ジャーナリズム】<海外事例> 不況が続くメディア業界のビジネスを一新するVRの威力を分析

そこで各メディアは、IT化を推進。VR動画の制作を活発に行い、特にニューヨークタイムズ(NYT)、アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)、ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー(NBC)など、大手新聞社やテレビ局がVR動画の制作に力を入れています。オールドメディアはなぜVRの分野に進出しているのか。オールドメディアがVR制作に取り組む意義を、彼らが直面している広告費の減少という背景から紹介します。

オールドメディアが制作する、“ジャーナリズム的VR動画”とは?

■ニューヨークタイムズ(NYT)

NYTは1851年創業の老舗新聞社です。これまでに数多くの新聞に関する賞を受賞し、世界的にも権威のある新聞です。そんな新聞業界の重鎮であるNYTも出版不況を経験しました。

数多くある報道機関の中でも、NYTはサムスン社とパートナーシップを組んで動画を制作するなど、積極的にVR動画を配信。その数はなんと100以上にも及びます(2017年9月現在)

こちらのVR動画は、アメリカ独立記念日のパレードで使う花火を製造するGrucci Familyの工場の様子を映し出しています。花火は独立記念日のパレードを彩るハイライト。お祝いをするのに欠かせないアイテムです。

Grucci Familyは、1850年から花火作りをはじめ、2017年の独立記念日ではボストンやラスベガスといった大都市の大掛かりな花火の制作も担当しました。このVR動画では、その制作の裏側に潜入しています。

■ABC News

ABC Newsとはアメリカ三大ネットワークのひとつに数えられる大手テレビ局。ウォルト・ディズニー・カンパニーが親会社であることも有名ですね。

ABC Newsでは、VR動画の制作が2016年頃から活発になってきました。主にYouTubeにて360度動画が公開されています。

画像: Shanghai Disney Resort | ABC News #360video youtu.be

Shanghai Disney Resort | ABC News #360video

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ABC Newsが公開する動画で、ひとつ興味深いものを見つけました。中国・上海のディズニーランドのVR動画です。ミッキーとミニーが出てきて、後ろを振り向くとドナルドが登場。また違う方向をみたらグーフィーが!このようにまるでディズニーランドにいるように、振り向いたら違うキャラクターが出てくるのは、VRならではの楽しみ方ですね。

■NBC

NBCもABC Newsと同じく、全米三大ネットワークのひとつに数えられる大手テレビ局です。もともとはラジオ局だったNBC。1941年に世界で初めてのテレビ放送を開始し、1954年には世界初のカラー放送を始めたという経歴があります。

NBCが配信するVR動画では、社会的に物議を醸したニュースやイベントの動画が多い傾向にあります。例えば、2017年1月21日に行われた”Women’s March”。

画像: Hundreds Of Thousands March For Women In Washington | 360 Video | NBC News youtu.be

Hundreds Of Thousands March For Women In Washington | 360 Video | NBC News

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アメリカの首都、ワシントンDCで催された”Women’s March”は、女性の権利、ヘルスケア、移民問題、環境問題を訴えるためにおよそ50万人が国会議事堂周辺に集まった大規模デモです。ニューヨーク、パリ、カナダ、ノルウェーなどと世界中の大きな都市でも開催されました。マドンナやスカーレット・ヨハンソンといったセレブが演説をしたことでもメディアの注目を集めました。

映像は、デモの中から撮影したもの。参加することができなかったという人でも、この動画をVRで見ることで実際に参加しているかのような体験を楽しむことができます。このように、これまでは紙面やテレビ画面を通じてしか伝えられなかった現場の臨場感を体感することができれば、視聴者は個々のニュースをまた違った視点でとらえることができるでしょう。

広告費の減少、オールドメディアがVR動画を作り始めた背景

■広告キラーのClaig’s Listの登場で、IT化せざるを得ない状況に立たされた新聞業界

VR動画を取り組むところが増えてきた背景には、古くからある新聞社の広告費の収入の減少があり、出版不況に陥ったことがあります。

“Between 2006 and 2012, for instance, daily print newspaper circulation in the United States fell 17 percent… Many of those lost print readers, however, had simply migrated to the Web version of the same papers, not abandoned the content.”

「2006年から2012年にかけて、アメリカの日刊紙は従来と比べて17%の発行部数の減少がありました。多くの新聞社では紙版の新聞の読者を失うことになりましたが、もともとの読者は同じ新聞のデジタル版に移行したことがわかっています。」

出典:”The Elements of Journalism,” Bill Kovach and Tom Rosenstiel, page 87

「紙の新聞を読む人が減る→発行部数が減る→広告費が減る→収益が減る」という悪循環を生み出す結果になりました。新聞社の大きな収入源は、紙面に掲載される広告費です。しかし1995年に家やアパート、仕事、中古品、習い事などあらゆる情報を紹介するサイト「Craig’s List」が登場したことで、新聞社は危機に立たされました。読者にとっては、新聞の広告を見るよりも、Craig’s Listで探したほうが、早くてタイムリーに情報収集をすることができるからです。 

■NetflixやHuluなど定額型で広告が出てこないストリーミングサービスの浸透

新聞業界に比べ、ユーザーの減少が緩やかなテレビ業界。世界的に有名なコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が公開したレポートによると、テレビ離れが言われているこの世の中でも右肩上がりで広告費が伸びています。しかし、ビデオエンターテイメントと呼ばれる分野がテレビ業界を大きく上回ってきているのです。

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しかしテレビ局に「ストリーミングサービス」という敵が現れました。NetflixやHuluといった、定額制の広告が出てこない映画・ドラマ視聴サービスは、若者を中心に絶大な人気を誇っています。現在ではNetflix限定ドラマなどがアメリカの若者の間のSNSで話題になることも多く、テレビ業界の脅威となっていることは明らかです。

VR動画を制作する上でのコンバージョン

報道機関がVR動画をする上でキーとなるのは、動画のテーマと拡散ルートです。

VRの特徴は、視聴者が疑似体験ができること。あたかも話題のニュースの現場にいることを体感することができたり、ニュースの裏側にいるかのような演出を考えることでより読者を記事へと引き込むことができるでしょう。

例えば、冒頭で紹介したNBCの”Women’s March”のVR動画はニュースの現場、NYTの花火工場の様子はニュースの裏側に相当します。動画ではなく、VRだからこそのニュースの世界観をこのような場面で作り出せます。

その上でキーとなるのは、VRがメディアの収益に結びつくかどうか。新聞社であれば、デジタル版の購読者数の増加、テレビ局はスポンサーをつけることがポイントになります。

そのためにはVRを見ることで、そのメディアを見続けたいと思う読者を増やしていくことが不可欠です。その一手として、VR動画をFacebookやYouTubeといったSNSで公開することは効果的な拡散ルートになります。SNSでVRを見るきっかけを作ることは、将来の読者を増やすことにつながるのです。

オールドメディアがWebで数字を伸ばすための重要な手段になりつつあるVR

画像: オールドメディアがWebで数字を伸ばすための重要な手段になりつつあるVR

VRを制作する新聞社やテレビ局はまだまだ少数派。今回紹介した3社は業界のVRフィールドではマイノリティな存在です。しかしVRは驚くべきスピードで21世紀を生きる我々の生活に浸透していっています。そのため他のオールドメディアが一気にVRに参入してくるのは、時間の問題だと言えるでしょう。

今後、オールドメディアはどのようにVRを導入し、メディア不況を乗り切っていくのか。SNSやサイトで公開されるVR動画から目が離せなくなりますね。

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