アメリカの動物愛護団体が、農場の動物の管理状況などをリアルにイメージできるようにするためのVRビデオを制作しました。実際にファーマーが見ているものや聞いているものを体感することで、家畜が置かれている状況が人道的なものであるかなどが見られ、消費者はもちろん、畜産業関係者も安心感を得られます。具体的にどのような活用がされているのか、詳細を見ていきましょう。

農場の家畜小屋の状況を体感

動物愛護団体の多くは動物の命を大切にするという観点から、長年、食肉業界で行われてきた動物の生命を軽んじているような飼育方法に苦言を呈すべく、さまざまな実態の報告を行ってきました。しかし、これまではたとえば画質の荒い写真や手持ちのビデオでのぶれた映像といった、あまり実態が伝わりづらいものが多くありましたが、近年、より洗練された手段が公に使われるようになりました。それはバーチャル・リアリティ(VR)です。

世界に8つの支局を持つ動物愛護団体「Animal Equality(アニマル・イコーリティ)」は2017年に、畜産物となる動物を扱う農場で、家畜となる動物たちがどのような環境で暮らしているかということにフォーカスしたプログラムにVRのテクノロジーを初めて使いました。

そして、彼らが配信したムービーは世界中の6,300万人もの人によって視聴されることとなり、話題となりました。その反響の大きさに伴い、他の動物愛護団体も同様のテクノロジーを利用することを検討するようになったそうです。

そして昨今、「Animal Equality」がリリースした3つ目のバージョンとなる「i Animal」ではメキシコ、ドイツ、イギリスの乳牛を飼育している農場のコンディションを仮想現実の中で見ることができる3Dフィルムによるツアーを行っています。

そのVRのツアーの中では見ている人は実際に農場の家畜小屋や納屋などの中に入り、周囲の状況を見渡すことができます。そして、それはただ単に動物愛護団体がハイライトしたいスポットに限らず、さまざまなエリアに及びます。

これまでの方法では表現方法の限定性などから見られる範囲なども作り手の意図に限定されましたが、VRにおける表現はそれまでとはまったく異なるものになりました。

グループの創立者のJose Valle氏は「その経験はトラディショナルなビデオなどにおけるそれとはまったく異なります。視聴者は自分自身の目で施設全体を見られることをいつも望んでいたと思います」と話します。

また、別の動物愛護団体「Direct Action Everywhere(ダイレクト・アクション・エブリウェア)」の創立者、WayneHsiung氏はこのテクノロジーを「ゲーム・チェンジャー」と呼んでいます。

「畜産関連産業は、これまでの表現に対して不満を表してきました。トラディショナルな方法では、表現などが限定されていることもあり、実際よりも悪く見えるような編集がされるなどの声も多くありました。しかし、VRでは実際に目の前で見て聞くことができます。同じものを体感することができます。その点ではどちらにとっても公平になります」

そんな中、「Direct Action Everywhere」もまた、VRのビデオをリリースしたのです。

センセーショナルな内容に賛否

「Direct Action Everywhere」のVRでは、アメリカ最大の養豚施設の1つ「サークル・フォー・ファームズ」の飼育現場に視聴者を連れて行きます。そしてフィルムでは例えば雌豚が狭いストールの中で、出産を余儀なくされているなど、劣悪な飼育状況を見ることになります。

フィルムの中でHsiungは、このようなナレーションを行います。

「出産を終えた雌豚の後ろには命を失ったたくさんの子豚がいます。そして、その雌豚自身も劣悪な狭いスペースに押し込められています。今、目の前でこの雌豚と同じ状況に皆さんも置かれているわけですが、皆さんは自由にこの場を離れることができるのでご安心ください」

「サークル・フォー」の農場のオーナーである豚肉生産、食肉処理企業のスミスフィールド・フーズのスポークスウーマンである、Keira Lombardoは、このVRビデオの公開を受け、「明らかに不正確で誤り。動物が飢えているように見せる演出がされている」などと主張しています。また、ダイレクト・アクションは農場から2頭の子豚を連れ出したことなどでも警告を受けていたことも明らかになっており、世の中では賛否が分かれています。

いずれにしてもVRによるインパクトは非常に大きく、その他の動物愛護関連の団体の多くがVRテクノロジーに傾倒し始めているそうです。

米国で行われている「Animal Care Expo(アニマル・ケア・エキスポ)」では、「Humane Society
(ヒューマン・ソサエティ)」という会社が同エキスポで初となるVRの3Dビデオを公開しました。そこでは韓国のドッグフード工場の様子が紹介されました。

「それは従来のビデオよりもはるかにパワフルなものでした」と、同社バイス・プレジデントのPaul Shapiro氏はコメントしています。しかし、VRテクノロジーの導入自体は装備も大掛かりになるなどなかなか簡単ではなかったそうです。

AnimalEqualityも最初に作成したi Animalでは、複数台のカメラを同時に使うなどしたそうですが、より大きなチャレンジとなったのはその配信・供給だったといいます。理由は、VRのビデオを見るために必要なデバイスが今ほど広がっていなかったからです。AnimalEqualityは、慈善活動として、アメリカのさまざまな大学など教育機関のキャンパスでi Animalを上映してきたといいますが、このプログラムをスタートした当初は、全員分のヘッドセットも供給しなければなりませんでした。

これまで、同団体はオックスフォード大学、エール大学、カリフォルニア大学バークレー校などの名門も含めて117のキャンパスでVRのビデオ上映会を行っています。Animal Equalityは、さらにVR体験を身近なものとするためモバイル・アプリも開発しています。

昨今、さまざまなシーンでVRの活用が目立ち始めましたが、畜産業会にも確実にテクノロジーの波が押し寄せてきているようです。今回の例では、畜産業会と動物愛護団体の対立なども見られましたが、これまでにないリアル感が得られる一方で、その活用にはより慎重さが求められる面も垣間見ることができたと言えるかもしれません。いずれにしても農場の様子などをVRでリアルに見られることは消費者にとっても大いなる安心につながりますし、生産者の信用向上にも大きく貢献することでしょう。

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