今、少数のグループのみに人数を制限し入場が許されている、3,250年前に建設された古代エジプトのファラオの王妃の墓があります。中に入れる人を制限している理由は湿気などを始めとした老朽化の原因の断絶にありますが、一方で関係者らの間には貴重な文明を広く知らしめたいという思いもまたあります。それを解決する手段としてVRの活用が実用化されています。今回はその事例を紹介します。

VRがエジプト時代の遺産を救う

画像: VRがエジプト時代の遺産を救う

現在、VR(バーチャル・リアリティ=Virtual Reality)技術が古代エジプト時代の貴重な遺産を守るために活用されようとしています。今から3,000年以上前に名を馳せた古代エジプト第19王朝時代の人物であり、第3代目のファラオ・ラムセス2世(1279 BC〜1213 BC)の正妃・ネフェルタリの墓が老朽化より救い出されようとしているのです。

墓一面に描かれた絵は素晴らしく、ルネサンス期の有名画家らが内装を描いた世界を代表する有名な礼拝堂、イタリア・ローマのシスティーナ礼拝堂ともしばしば比較対象にされます。

ネフェルタリの墓は、エジプトの都市で、ルクソール県の県都であるルクソールのクイーンズ・バレーにあります。ルクソールは、古代エジプトの都・テーベがあった場所で、現在も数多くの遺跡が残っていることで知られています。市域はナイル川によって分断され、日が昇る方角であるナイル川
の東岸には、カルナック神殿やルクソール神殿など生を象徴する建物、日が沈む方向のナイル川西岸には死を象徴する、王家の谷や王妃の墓などがあります。

王家の谷には有名なツタンカーメン王の墓がありますが、王妃の墓の中で最も有名なものがネフェルタリの墓となります。

ネフェルタリの墓は少人数のグループにのみ公開されています。というのも人々が多く入場することで湿気などの影響で壁画がダメージを受けてしまうことが懸念されるためです。入場が許可されたグループは1,000エジプト・ポンド(56米ドル)をエントランスで支払うことで入場が可能となります。

1986年〜1992年の7年間にわたり、ゲティ財団とエジプト軍最高評議会との恊働により、ネルフェタリの墓には大規模な修繕が行われました。墓は塩による浸食やバクテリア、カビなどさまざまな要因から老朽化を余儀なくされていました。そんな中、調査団は増え続けている湿気がバクテリアやカビの増殖につながっていることを発見しました。エジプト考古学の推進と、歴史的な遺跡・遺産の保護・保全を目的とするエジプトの中央省庁・考古賞の前大臣であり考古学者のZahi Hawass氏は言います。

「ゲッティーでのプロジェクトをスタートした当時、私たちは墓を一般公開することはできないという意見で一致していました。しかし、1人あたり 1,000エジプト・ポンドという高価格設定の入場料を支払えば入ることを許可しました。そしてまた、新たなこの時代の手段としてバーチャル・ツアーというものも登場しました。これにより墓はますます守られるようになることでしょう」

墓の中を丸ごとキャプチャーする

画像: 墓の中を丸ごとキャプチャーする

バーチャル・ツアーを実現するためにVR開発会社のExperius VR社はドキュメント映像などのストリーミング・サービスを行っているCuriosityStream社とチームを組みました。

Experius VR社からは3名の技術者がネフェルタリの墓を訪れ、丸2日間をかけて3Dスキャニングを行い、数千に及ぶ、高解像度のオーバーラッピング画像を素材として収集しました。それから3Dスキャンされた素材や写真を落とし込んだプロトタイプのVR体験プログラムを2カ月かけて制作、現在ではSteamやViveport、CuriosityStream VRなどのコンテンツ配信会社などから無料でダウンロードできるようになっています。

なお、映像を観るためには現在のところはViveheadsetが必要ですが、チームはほかのヘッドセットでも映像を見られるようにすることを目指し、開発を進めているそうです。

高まるVRツアーの人気

画像: 高まるVRツアーの人気

現在、世界中で数多くの歴史的建造物や史跡がVR映像として保存され始めていますが、ネフェルタリの墓もその中の1つとなります。2018年の4月にはグーグル社が歴史のモニュメントをスキャンしているCyarkという会社とパートナーを組むことを発表するという動きもあるなど、歴史遺跡をVR映像で残すというプロジェクトが、今後の大きなトレンドとなっていく息吹を感じさせられます。

ネフェルタリのVRツアーでは墓がまるで目の前に現れたかのような体験をすることができますが、その他にも現在、例えば古代エルサレムの遺跡など、多くの歴史遺跡や史跡のVRツアーが実現し始めていると言います。

しかし、鮮明で質の高いVRツアーを作るにはまだまだ多くの時間が必要とされます。ネフェルタリの墓のツアーは制作に2カ月ほどかかりましたが、そのプロセスはおそらく早まって行くのではないかと前向きな予測が立てられています。

今後更に多くの遺跡や史跡などをVR化して行くことを目指しているというCuriosity Stream VR社は立体映像制作の技術は確実に進化をしていると自信を見せます。同社のエグゼクティブ・プロデューサー、JorgeFranzini氏は以下のように話します。

「バーチャル・リアリティを始めとした最新テクノロジーの分野は今後ますます進化し、そのリアル性は更に増していくことでしょう。これらのツールは現在のプロダクトの限界を超越する力を持ち、更には私たちがこれまで想像することすらできなかったようなところへ連れて行ってくれるようになるはずです」

VRはエンタメを超え、考古学をも救う

VR技術の更なる進化によって、現実に目で見るのと変わらぬ景色を目の前で見られるようになれば、それはほとんど現実における体験と遜色ないものといっても過言ではないのでしょうか。もちろん、実際の体験に勝るものはなしという意見も出てくるでしょうが、いずれにしてもこうした体験のオプションが増えるのは非常に歓迎すべきことです。

現実にツアーに参加しているのと変わらぬ景色の中を巡り、古代文明を知るという恩恵に加え、それが実際には遺跡の状態の保存にもつながっているというのもまた、嬉しいオプションではないでしょうか。皆様も一度体験してみては?

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